【雑感】異質な存在には恐怖と拒絶反応を感じるものだ、と自覚することが大切だと思う。
先日放映していたテレビ番組で、障がい者の方と健常者のタレント（主に芸人）の方が討論する、みたいな番組がありまして、録画しておいたのを改めて見ました。いや、番組の途中で見るのをやめて、また見て、と何度かに分けて全部を見切った、と言った方が正しいです。なんで一度に全部見られなかったのだろう、と振り返ってみると、一言で言えば「しんどかった」からだと思います。
なんで「しんどかった」かというと、やはり障がい者の方々の姿を見たり、あまり空気を読まない（あるいは読めない）態度を見ているのがつらいというか、しんどいというか、そういう感覚だったんだろうと思います。そんな感覚に陥る自分に直面し、二つの思いが私のもとに舞い降りました。
一つは、障がい者の方を見て、自分とは違う異質な存在に向き合うと恐怖を覚え、拒絶反応を起こしてしまうという、自分には寛容さがないことに気づいたゆえの落胆。もっともっと、自分とは違ったり、自分にはないものを持っていたり、という存在を受け入れられる心持ちでいたい、と望んでいるはずなのに、そうなれていない自分に気づいて、なんとも情けないというか、切ないというか、そんな気分になりました。
もう一つは、異質な存在に向き合った時には誰しも恐怖を覚えるものである、という現実を受け止め、受け入れ、認めなくてはいけないんだ、という気持ち。そう思ってはいけない、恐怖を覚えてはいけない、拒絶してはいけない、と自分の心を押さえつけようとしたところで、結局は恐怖や拒絶反応は拭えるものではなく、むしろ恐怖や拒絶を感じるのが人間なんだ、それは自分もそうなんだ、と認めることで恐怖や拒絶とつきあえるようになるのではないか、と思った次第です。
そんな二つの思いを自分の中で巡らせている中で、番組を見続けていると、健常者のタレントの方へ「もし芸人仲間から『実は障がいを持っているんだ。公表すべきかな？』と相談されたらどう答える？」という質問がされました。するとほぼ全員が「公表すべきではない」と答えていました。「自分をおもしろがってもらえている要因が、障がいを持つことによって自分が起こす行動や言動にあるなら、ネタばらしのようなことはしなくていいと思う」という意見もあれば、「テレビってそういう（障がいがあることを笑いにできる）ものではないから」という意見もありました。前者の意見には「うん、それはそうかも」とうなずくことはできたのですが、後者の意見には「うん？」と首を傾げてしまいました。
それってつまり、テレビを視聴している人の多くが、障がいがあることを笑えない、ということですよね。だけどもし、その障がいのある方が自分の障がいを「笑い飛ばしてほしい」と思っていたら、どうなんでしょう。その番組にも出演されていましたが、障がいがあることを笑いにしようとしている芸人の方もいます。そういう人がいたとしても、たとえばその障がいのある芸人の方と同じ障がいを持つ方が、自分の障がいのことを「笑い飛ばしてほしくない」と感じていたとしたら、それはテレビではできない、ということになる。「テレビってそういうものではない」というのは、そういうことかと思うわけです。
私も求人広告の世界にいるので、表現の仕方にはものすごく気を使います。実際、過去にこんな広告の表現がそれを見た人からクレームを受けたことがあるから、こういう表現は使わないように、という具体的な事例も勉強会のような場で共有されたりもします。なんなら広告を見た人のうち、一人でも不快に思うことがあるような表現はしないように、という指導を受けます。まあ広告ですから、お金を払うクライアントもあるわけで、不特定多数が目にするものだということも鑑みれば、それもまた必要不可欠なことかと思います。そう考えると、「テレビってそういうものではない」というのもわからなくはありません。
しかしながら、そこで改めて思うのは、テレビを見ている大多数の人たちは、障がいのある方の姿や行動に触れる機会が少ないから、自分とは違う異質な存在への恐怖や拒絶反応を感じてしまうのではないか、ということです。それはそうでしょ、という意見はあるかと思いますが、なんならもっとそういう機会が増えれば、そこまで恐怖や拒絶反応を感じることもなくなるのではないか、と思うのです。ではどういう方法で、接する機会を増やせばいいのか、という案は現段階では私にはありません。ただ、それだけ異質な存在に触れる機会が私たちには少なく、だから恐怖や拒絶反応を感じてしまうのだ、ということを認識することから始めないと、いくら機会を増やしても多くの人たちの意識は変わらないのだろう、ということだけは確かだと私は思っています。
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