【読書ノート】告白/湊かなえ



ゆでたまごのすけでございます。

今さらですが、湊かなえ作・告白、読了。
確かに、これはヒットするわなあ、というのが、
率直な感想でございます。

各章で告白する人物たちがすべて、
ほんとイラッとするほど自分本位。
ネットで検索しておりましたら、
伊集院光さんが同名作品の映画をDVDで見て、
「久しぶりに嫌いになる映画を見た」とか、
「登場人物の全てに腹が立つ」といった評を、
ラジオ番組でされていたという記述がございました。
その気持ち、よくわかるなあ、という感じでございます。

しかしながら。
それだけ自分本位な人物ばかりが登場する作品が、
どうしてこうも支持を受けたのか。
それは、それだけ読んだ人たちが共感したから、
ということだろうと思うわけでございまして、
自分の中にある自分本位な部分に共鳴した、
ということではないかと思うのでございます。

かく言う私も、彼ら登場人物の気持ちはよくわかる、
なんて思ってしまったわけでございます。

しかしながら。
一方でこれだけ自分本位な人たちばかりを、
これほどまでに思い切り描き切った作品というのも、
これまでになかったのではないかと思うのでございます。
伊集院さんもおっしゃるように、
誰一人、まともないいヤツというのが出てこない。
世の中の多くの人たちは、
ドラマでも映画でも、どんな形であれ、創作物に対しては、
勧善懲悪というようなわかりやすい形で、
救いのある物語を求めるものであると思います。
そんな都合よく、問題が解決するようなことは、
実際にはありはしない、とわかっていたとしても、
そうあってほしいという願望とか、夢のようなものを、
創作物の中に求めるわけでございます。

もちろん、そういう救いのあるドラマもあっていい。
しかし、こういうまるで救いのないドラマもあっていいし、
おそらくは、そんなドラマがなかったからこそ、
この「告白」という作品は大いに支持を集めたのではないか、
と思うわけでございます。

湊さん、他の作品はどんなものをお書きなのでしょう。
少々、興味がわいた次第でございます。

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