【読書ノート】アホの壁/筒井康隆
ゆでたまごのすけでございます。
私が勝手に師と仰ぐ天才作家、筒井康隆氏。
その完全に二匹目のどじょうを狙ったとしか思えないタイトルで、
実際に「そうだ」と本書内で書いているところが、
なんとも筒井氏らしくて好感が持てる一冊が、
こちらの「アホの壁」でございます。
ところどころに、かつて筒井氏が書いた作品にも登場するような、
アホなエピソードが交えられたりしながら、
結局、さんざっぱらアホと思われるような行動や言動をする
人たちのことをけちょんけちょんにしつつ、
でもやっぱりアホがいなければ世の中は成り立たない、
という結論に至るという、何とも愛すべき一冊でございます。
たぶん、筒井氏がこれまで積み重ねてきた知識や教養を、
ほんの一部使えばアホだけで一冊の本が書けてしまう、
というところを存分に見せつけた作品と言えるでしょうが、
そんなことをやってしまう俺ってアホでしょ、
と「けけけ」なんて笑い声を上げて喜び跳ねている
天才・筒井氏の姿が見えてきそうで、
ファンの私としては、痛快な一冊だったわけでございます。
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