【雑感】市川中車さん。
市川中車さん、と言ってピンとこない方も、
きっとおられるのでしょうね。
香川照之さんが襲名された、
歌舞伎界の名跡でございます。
香川さんは、市川猿之助さんと浜木綿子さんの間に
生まれた方でございますが、
ほどなくご両親が離婚されてしまったので、
歌舞伎の世界には身を投じぬまま、
俳優としての地位を確立された方でございます。
そんな香川さんが歌舞伎の世界に、
40代半ばを超えてからチャレンジをし、
襲名披露公演から親子競演を果たすまで、
を追ったドキュメンタリーが、NHKで放映されておりました。
「龍馬伝」で共演した福山雅治さんが、
ナレーションをされているのを聞いて、
きっとお二人には特別な関係が築かれているのだろう、
などと思いを馳せながら眺めておりました。
香川さんがまだ若かりし頃、
猿之助さんが公演しているところを訪ね、
猿之助さんに「公演中の役者のところを
訪ねるなんて」みたいに突っ返された、
というエピソードも紹介されておりましたが、
そんな話を私の母親から聞かされていたのを、
ふと思い出したりもしておりました。
香川さん曰く、
なぜ今、歌舞伎に挑戦することにしたのか、
という問いに対し、
「自分の子どもが歌舞伎をできていない、
というのに違和感を感じていた」とか、
「子どもから『どうしてお父さんは、
歌舞伎の舞台に出てないの?』と言われた」
などとジョン・レノンのようなエピソードを披露されておられ、
何と言うか、血縁というのはそういうものだよな、
と共感させられた次第でございます。
襲名披露公演は、チケットが完売だったそうでございます。
常連客から、市川中車さんの演技に、
「澤瀉屋!」「九代目!」などと声がかかっていたのを見ると、
私なぞはまったく関係のない人間でありながら、
何とも言えない感慨がこみ上げてきた次第でございます。
いずれ、舞台を観に行きたいなあ、
と思わずにはいられませんでした。
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