【読書ノート】模倣犯(上)/宮部みゆき


ゆでたまごのすけでございます。

初、宮部みゆきでございます。
それが「模倣犯」でいいのか、
というのは、
よくわかりませんが(笑)。

長い長い、物語でございますね。
伊坂さん、東野さんとともに、
ミステリー出身の作家さんは、
物語の構成力とか、伏線の張り方とか、
きめ細かにつくり込んでいくのだなあ、
と改めて思う次第でございます。

物語は、歪んだ少年期を過ごした栗橋と、
彼が少年期に憧れてやまなかった
「ピース」と呼ばれる友人とが引き起こす、
世の中を震撼させた連続殺人事件が軸。
その事件を追うルポライターの女性や、
彼らの事件が発覚したゴミ箱に捨てられた
腕を見つけてしまう第一発見者の少年、
それに栗橋とピースと同じ少年期を過ごし、
鈍重で優しいと言われてきた高井という男性、
などなどが絡んでいき、それぞれの家族や、
そのまわりを取り巻く人たちとの関係性を、
一つひとつ丁寧に描いていっている作品でございます。

読んでいて、感じたのは、
犯人たちに気持ちを重ねる自分でございました。
彼らの行動は、とても自分勝手で、
自分本位に物事を解釈し、だから殺人を起こしてしまう。
ある種、秋葉原のあの事件を起こした犯人の心境と、
重なる部分も大いにあるのだろうな、と思います。
おそらく、親からの愛情を歪んで受けた人たちは、
自分本位に、愛されているのに、自分はなぜ愛されないのだ、
という思いを抱きながら、生きているものなのだろう、
とつくづく思うわけでございます。
そういう人たちの気持ちを、ちゃんと描いている作品がある、
ということを知ったことが、私としては大きな収穫だったかな、
という感じでございます。

上巻では、ピースの出自があまり描かれておりません。
下巻に、そこらへんが描かれていくのだろうな、と思います。
途中、読み進めながら、先に被害者側から見た事件を描き、
その後に犯人側から見た事件を描くという手法を取ることで、
くそ、こいつは今、こういうことを思っているのに、
なんでこいつは気づかないんだ、みたいな、
「志村、後ろ、後ろ!」的な気持ちにさせられるのは、
宮部さんの作戦なんだろうなあ、などと思いながら、
なかなか先へ話が進まないイライラ感を抱かせられるところがあって、
ミステリー出身の作家さんはその辺がうまいのだな、
と勉強させられた次第でございます。

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