【読書ノート】考える力を伸ばす教科書/岸本光永・渡辺三枝子
ゆでたまごのすけでございます。
日経新聞の書評に載っていて、
なんか興味深いなあ、と思って、
アマゾンで購入しておいた一冊、
という感じでございます。
どんな書評の内容に反応したかは、
私の記憶も定かでは
ございませんけれども(苦笑)。
リーダーが不在と言われていたり、
考える力のない若い人たちが
新たに社会に出てきている、
などと言われてみたり、
あるいは小学生の学力が落ちている、
などと言われてみたり、
といった問題の根底にあるのは、
クリティカル・シンキングができなかったり、
ダイアローグ(対話と訳されますが、
この本では単に日本語の「対話」とは
意味合いが異なる、と解説されてますが)が
できなかったり、という問題だ、
というのが大きく言えばこの本の主題でございます。
前段は、クリティカル・シンキングとは、
ダイアローグとは何かといった言葉の持つ意味合いを、
読んだ人たちができるだけ筆者が意図する意味と
異なることのないように解説している内容になっています。
それを踏まえて後段では、実際にどんな手法によって、
クリティカル・シンキングやダイアローグができるように
していくか、という具体的な話まで網羅されています。
すべてを読み終えて感じるのは、
教育にして、企業活動にしても、
哲学というものが今は軽んじられているんだな、
という実感でありました。
たとえば「ゆとり教育」なんて言われていたものも、
本来であれば子どもたちに自主的にものを考えられるように、
知識の詰め込みだけではない教育を施していきましょう、
という哲学がベースにあったにも関わらず、
その部分を軽んじてしまって、
結局は成績至上主義という見た目にわかりやすい
数値で子どもの能力を計る、という発想を変えずにきてしまったから、
失敗に終わってしまったのではないかと思うわけでございます。
つまりは、先生たちがもっと子どもたちに考えさせることが
大事なんだ、という哲学を持って学校教育に取り組んでいれば、
もっとうまくいったんじゃないの、と思うわけでございます。
まあ、先生たちからすれば、文科省や教育委員会というお上がいて、
彼ら自身が哲学を持っていなかったから、やりようがなかった、
という言い訳をされるのでございましょうが、
どっちにしても、この本に書いてあるようなダイアローグで
いろいろと議論をするスタイルを授業の中に導入していれば、
知識を詰め込まれることを何の疑問もなく受け入れる子どもたちを
つくるようなことにはならなかったのではないか、
と思えてならないのでございます。
しかしながら、他者と対話する力を持つことの大事さは、
ここ最近、やたらと感じるところがございましたので、
そんなタイミングでこの本に出会ったというのは、
何かしらの運命ではないか、とすら思えてしまうのでございます。
それと、この本でいう「論理的思考」は、
私のこれまでの人生の中ではあまりやってこなかったな、
という反省もできた次第でございます。
考える、ということに少しでも疑問を感じたり、
どうしたらいいかと右往左往していたりする人には、
読んでおくといい一冊だと思ったわけでございます。
コメント
いつもと同じ毎日を回していくだけで手一杯!という感じみたい。
教育が進んでいるのは北欧で、日本も北欧に学ぶべきところはたくさんありそうですね。
現場をよく知っている人がお上と手をとって
抜本的な改革・整備をしていかなければならないと思います。
「教育=国を育てること」ですから、こういうことには
大いに税金を使えばいいと思います。
私の姉も小学校の教員なので、
その現場の大変さは聞いています。
国がいつまでもこれまでと一緒でいい、
と考えている限りは、
税金をいくら使ったとしても、
現状はあまり変わらないのだろうな、
と感じてしまいますね。