【読書ノート】ガリレオの苦悩/東野圭吾


ゆでたまごのすけでございます。

東野圭吾さん、二冊目でございます。

あれですね、ガリレオシリーズの一つ、
ということでございますね。
容疑者Xの献身とか、福山雅治さんが
演じておられたドラマとか映画の、
原作シリーズの一つなんでございますね。

シリーズにどんなのがあるのか、
どの作品が実際に原作として使われているか、
などは一切知らずに、
読まさせていただいた次第でございます。

なるほど、ガリレオこと湯川先生が、
さまざまな苦悩をしながら事件解決に臨む、
という作品ばかりになっておりまして、
いわゆる作家さん自身が自らに制約を与えて、
構成した一冊ということになるのでございましょう。

一話目は、そもそも警察の捜査に協力すること
そのものに対して疑問を抱く苦悩を。

二話目は、自身の恩師を追及せねばならない、
という苦悩を。

三話目は、今度は友人を追いつめねばならない、
という苦悩を。

四話目は、科学的でないものが犯罪に関わった
事件の解決に臨むという苦悩を。

そして、最後の五話目では、
科学者でありながら警察の捜査に関わることで、
同じ科学者が自分への敵対心をもとに犯罪を犯す、
ということに対する苦悩を。

それぞれ違った切り口からの苦悩を与え、
それを乗り越えながら事件の解決に力を貸していく、
というガリレオ氏の姿を描いていっておるわけでございます。

しかし、読んでる最中に福山雅治さんが、
頭の中に出てきてしまうのは致し方ない、
ということでございましょうか(苦笑)。
やはり、映像がイメージできる作家さんだなあ、
と改めて思うわけでございます。

ミステリー作家の方には、昔からあるものだと思いますが、
自分の代表作となるようなキャラクターを持つという、
キラーコンテンツの存在がその方のヒットするかしないか、
というのを大きく左右するのだろうな、と思うのでございます。
そういう意味では、ガリレオ氏は本当に、
よくできたキラーコンテンツだなあ、と感じます。
似たような設定を使って、つい先日まで、
「コントロール」なるドラマもございましたが、
結局は二番煎じでしかなかったのかなあ、
と思わせられるわけでございます。オリジナルは、強し。

東野さんのスゴいと思うところは、
映像化をしやすい表現をさらりとしながら、
それでいて自分がこの作品、あるいはこの一冊で、
描こうとしている主題がブレずに貫かれていて、
その主題をきちんと伝えるような描写が
あちこちに散りばめられている、ということでございましょう。
なるほど、流行作家になるべくしてなった方だな、
と思わせられるのでございます。

ミステリーについてはそれほど詳しくございませんし、
きっとその世界の専門家のような方からしてみると、
トリックの構成などで難癖をつける人もいるのかもしれませんが、
ミステリーをより多くの人たちに読んでもらえるように、
ある種の大衆化を実践できている作家ということで、
ぜひともそういう方々にも評価をしていただきたい、
などと余計なお世話を考えてしまう私でございました。

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