【映画レビュー】ぐるりのこと。
ゆでたまごのすけでございます。
結局は、好きかどうかというシンプルな話だな、
という印象を受けた次第でございます。
2008年の作品で、日本アカデミー賞受賞作品。
あとでレビューサイトなどをチェックしまして、
知ったわけでございますが。
結婚に悩む知り合いが見て、よかった、
という感想を言っておりましたゆえ、
見てみたというわけでございます。
日本画家を目指して、法廷画家の仕事を始める、
生活力のない男・カナオをリリー・フランキーさんが。
その奥さんで、小さな出版社に勤めるしっかり者の翔子を
演じるのが木村多江さんというキャスティング。
90年代の10年間を夫婦が過ごし、
世の中がサリン事件だの幼女誘拐だの、
学校への殴り込み事件だのとおかしくなっていくのと同時に、
子どもを失った経験をトラウマとして、
うつになって心が壊れていく翔子の姿。
そしてそれを法定画家として眺めることしかできないのと
同じように、そばに寄り添ってあげることしかできないカナオ。
翔子は、寺院の天井画を描くことを依頼され、
それに全力を挙げて取り組むことで自分を取り戻していきますが、
そのプロセスもカナオは、
寄り添って温かい眼差しで眺めることしかできない、
という優しくも切ない夫婦の姿を描いた作品でございます。
脇役陣も絶妙なキャスティングがされていて、
翔子の兄やその嫁、母親といったまわりを「ぐるり」と
取り囲む人たちも、何かしら心に闇を抱えながら、
それでも生きているという姿が描かれております。
とにかく、静かな映画でございます。
特別なドラマというのは、発生しません。
それが人生というものであり、夫婦というものなのでしょう。
めんどうくさいけど、いとおしい。
いろいろあるけど、一緒にいたい。
そんなキャッチフレーズが、ぴったりでございます。
要は、好きであるというシンプルな気持ちが、
カナオと翔子を一緒にいさせるのだろうなあ、
それだけでいいんじゃないのかなあ、
と思わせられるわけでございます。
逆に言うと、そこまで思えないと、
一緒にはいられないということでもありますが。
個人的には、こういう静かなトーンの映画は好きでございます。
二人の気持ちや関係性の変化を、
世の中の変化とシンクロさせるように描いていく、
構成の仕方も実に丁寧で、すばらしい。
ラストシーン近くの、翔子の母親がカナオに
「娘をよろしくお願いします」と改めて頭を下げる場面。
だんな(=翔子の父親)に逃げられた母親が、
そのだんなが今住んでいるという名古屋の街に
カナオと翔子が訪ねていって、幸せそうにしている、
という話を聞かされた母親がそういう行動に出る、
というのがこの映画のすべてを象徴しているように感じました。
まわりはどうあれ、好きかどうか。
自分に問いかけてしまうメッセージのある作品でございました。
結局は、好きかどうかというシンプルな話だな、
という印象を受けた次第でございます。
2008年の作品で、日本アカデミー賞受賞作品。
あとでレビューサイトなどをチェックしまして、
知ったわけでございますが。
結婚に悩む知り合いが見て、よかった、
という感想を言っておりましたゆえ、
見てみたというわけでございます。
日本画家を目指して、法廷画家の仕事を始める、
生活力のない男・カナオをリリー・フランキーさんが。
その奥さんで、小さな出版社に勤めるしっかり者の翔子を
演じるのが木村多江さんというキャスティング。
90年代の10年間を夫婦が過ごし、
世の中がサリン事件だの幼女誘拐だの、
学校への殴り込み事件だのとおかしくなっていくのと同時に、
子どもを失った経験をトラウマとして、
うつになって心が壊れていく翔子の姿。
そしてそれを法定画家として眺めることしかできないのと
同じように、そばに寄り添ってあげることしかできないカナオ。
翔子は、寺院の天井画を描くことを依頼され、
それに全力を挙げて取り組むことで自分を取り戻していきますが、
そのプロセスもカナオは、
寄り添って温かい眼差しで眺めることしかできない、
という優しくも切ない夫婦の姿を描いた作品でございます。
脇役陣も絶妙なキャスティングがされていて、
翔子の兄やその嫁、母親といったまわりを「ぐるり」と
取り囲む人たちも、何かしら心に闇を抱えながら、
それでも生きているという姿が描かれております。
とにかく、静かな映画でございます。
特別なドラマというのは、発生しません。
それが人生というものであり、夫婦というものなのでしょう。
めんどうくさいけど、いとおしい。
いろいろあるけど、一緒にいたい。
そんなキャッチフレーズが、ぴったりでございます。
要は、好きであるというシンプルな気持ちが、
カナオと翔子を一緒にいさせるのだろうなあ、
それだけでいいんじゃないのかなあ、
と思わせられるわけでございます。
逆に言うと、そこまで思えないと、
一緒にはいられないということでもありますが。
個人的には、こういう静かなトーンの映画は好きでございます。
二人の気持ちや関係性の変化を、
世の中の変化とシンクロさせるように描いていく、
構成の仕方も実に丁寧で、すばらしい。
ラストシーン近くの、翔子の母親がカナオに
「娘をよろしくお願いします」と改めて頭を下げる場面。
だんな(=翔子の父親)に逃げられた母親が、
そのだんなが今住んでいるという名古屋の街に
カナオと翔子が訪ねていって、幸せそうにしている、
という話を聞かされた母親がそういう行動に出る、
というのがこの映画のすべてを象徴しているように感じました。
まわりはどうあれ、好きかどうか。
自分に問いかけてしまうメッセージのある作品でございました。
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