【読書ノート】なぜ、国際教養大学で人材は育つのか/中嶋嶺雄
ゆでたまごのすけでございます。
確か日経新聞の書評を見て、
気になったタイトルだったので、
アマゾンで購入した一冊で
ございます。
秋田県にある国際教養大学という
まだ新しい大学で、
学長を務めておられたのが、
この本の著者の中嶋さんでございます。
かつて東京外国語大学でも学長を
されておられたことがあり、
その当時にはなかなかできなかったことを、
国際教養大学ではやっている、
ということのようでございます。
一言で言うなら、
大学改革が進まないのは教授会があるから、
という話でございます。
中嶋さんがおっしゃられているのは、
学部教育ではなく、語学も含めた教養教育を
しっかりとやらなかったらいい人材は
育たない、ということでございます。
だから、国際教養大学ではすべての授業が
英語で開講されていたり、
一年間の留学は義務とされていたり、
という他にはないカリキュラムが設置されている、と。
なぜそういう大学をつくろうと考えたかというと、
海外の一流大学で日本人学生の存在感が
えらく薄くなっているから、なのだそうでございます。
確かに、留学する人数が減っている、
なんてニュースでも言われておりますし、
内向きな志向の学生が増えたともよく言われます。
つまりは、海外の一流大学を卒業した人たちが、
世界を舞台に活躍しているにも関わらず、
日本の大学は海外の大学と肩を並べようともせず、
企業から「大学教育無用論」などと言われるように、
大学受験の段階でレベルわけさえしてくれたら、
あとは大学のラベルだけで採用すればいーんじゃない、
と採用担当者に思わせてしまっているのだ、と。
いやはや、ごもっともな話ばかりでございまして。
確かに、グローバルに活躍するような人材を輩出するのは、
これまでの大学のスタイルで学生に教育を施していては、
まず無理なのだろうな、という気がいたします。
教授会が大学改革に反対するのは、
改革されたら自分の立場が危うくなるという理由があるだけで、
多くの教授が保身に走っているのだとしたら、
これはもう日本の未来を担おうとしている若者たちへの
背信行為に他ならない、ということになりましょう。
もちろん、そうでなくて、反対されている教授もおられるでしょう。
物事は多面的に見ないと、いかんと思うわけでございます。
中嶋さんは、小学校への英語教育の導入へも賛成されておられます。
確かに、早いうちから英語に触れておくことが、
将来的に活きた英語を使って世界のフィールドで活躍する
人材をつくるための礎になることもあるかと思います。
しかしながら、問題は英語教育を導入することに、
意味を見出せずに先生たちが授業をしていたら、
きっと何の役にも立たなくなるだろうなあ、と。
まあ、小学校の教育現場も、千差万別でしょうし、
そこに通わせている親の意識も高い低いがあるでしょうから、
一律に英語教育を何時間、年間でやるようにしましょう、
というだけでは定着などするはずもないことでしょう。
それに、英語教育をされて来なかった人たちが
先生をやってるわけですから、
そういう人たちが英語教育に意味を見出すことも、
きっと難しいに違いありません。
しかしながら、坂本龍馬ではございませんが、
これからの世の中、日本国内だけ見て生きていく、
ということはより一層できなくなるはずなのでございます。
震災後の記者会見が、日本語でしか行われないことは、
海外のメディアの人たちからするとすごく閉鎖的、
と受け取られているというのは、よく言われていることです。
そういうガラパゴス状態を続けていれば、
間違いなく日本は変な国、という印象を強くするでしょうし、
実際にグルジアあたりでは日本は沈没する、
なんて報道がされている、という話も耳にいたしました。
教育に携わっている方々にはぜひ、
賛否両論はあろうとは思いますが、
ご一読いただきたい一冊でございます。
読むとわかりますが、
国際教養大学を出た学生さんたちは、
就職率が非常に高いと評判になっておりますが、
決してそれは大手企業への就職率が高いとか、
外資系企業への就職率が高いとかだけではなく、
地元・秋田の地域振興をするために、
地元企業へ就職した人たちもいたりするという事実を、
真摯に受け止めていただきたいと思うのです。
単に、エリート教育をしたい、というわけではない、
と私は受け取りましたが、そうではないでしょうかね。
コメント
「外国で活躍できるように、学生が留学でもなんでもしてやろう!」という意欲にあふれている学生を集めてるからだと思います。
もちろん、それを具体化する「留学」という受け皿は必要ですが。
普通の日本人の大学生は「公務員や大企業で無難にすごせれば、それでよい」みたいな超内向き指向だから、そんな人間が組織に入っても、突然、「組織を活性化しよう、そのために私が犠牲になっても構わない!」なんとコロッと改心するわけがないですからね。
大震災で若者が良い方向に改心してくれれば!
ジジイ/ババアはもう諦めました、寿命がくるのを待った方が早いです。
以上です。
(×)「教える」じゃだめで
(○)「育つ」を中心に考えないと
上手くいかないと思いますよ。
少なくともテレビ取材で見た
「国際教養大学の学生」は「育つ」ための道具として大学を上手く使っている。
そう思いました。
「学生を育ててやる」なんて大人が考えるから、学生が受身になる→だめになる。
そこが一番大きな違いだと思います。
以上です。
おっしゃる通りだと思いますね。
ある意味、こちらが諦めねばならないような
じじばばがいるから、内向きな学生が増える、
という論理もあり得るのかもしれませんね。
昨日娘が国際教養大に入学しました。
さて、どんな大人に育つのでしょう?
保護者にも説明会やキャンパスツアーで大学の目指すところを少し見せてもらいました。
こんな環境なら、本人もやるしかないですね。
しかし、今回の震災と原発問題で、8割の留学生が帰国してしまったということ。ちょっと残念です。
初めてのコメント、ありがとうございます♪
入学されたのですね。おめでとうございます。
お子さんの成長、楽しみですね。
留学生の方が帰ってしまわれているのは、私も残念です。
しかしもう少し、日本も情報公開を、
英語をつかってするべきだろうなあ、
とつくづく思ってしまう事象ですよね。